古典物理学の限界から量子力学へ

古典物理学が最強だった時代
1800〜1890年ごろまでの物理学は、
✔︎ ニュートン力学(力・運動の法則)
✔︎ マクスウェルの電磁気学(光や電磁波の法則)
が完成していて、多くの物理学者はこう思っていました。
「もう自然界の法則はほとんど解明された。
あとは細かいところを埋めるだけだ」
つまり、
物体の動きも
光も
電気も磁気も
すべて数式できれいに説明できるはずだ
という「完成感」があったわけです。
しかし・・・「説明できない現象」が見つかり始める
このほぼ完成したはずの物理論では説明できない現象が、
ポロポロと見つかってきます。
代表例がこの3つ
1. 黒体放射(こくたいほうしゃ)の 紫外線崩壊問題
2. 光電効果(こうでんこうか)
3. 原子スペクトル(原子が出す特定の色の光)
1つずつ、「そもそも何の話?」というところから説明します。
1.黒体放射の紫外線崩壊問題とは?
● 黒体放射ってなに?
黒い物体のことではありません。
「熱いものが出す光」のことです。
✔︎ 真っ赤に熱した鉄
✔︎ 電球のフィラメント
✔︎ コンロの赤く光る部分
これらは、温度が高くなると
赤→オレンジ→黄色→白っぽく、と光の色や強さが変わります。
「温度ごとに、どんな波長(色)の光がどれくらい出るのか?」
これを理論的に説明しようとしたのが黒体放射の問題です。
古典物理で計算するとどうなったか?
当時の物理学(マクスウェルの電磁気学+統計力学)を使って計算すると、
• 短い波長(=紫外線やもっと短い波長)になるほど
→ エネルギーが無限大に増えてしまう
というおかしな結果になりました。
でも、現実の世界では
✔︎ 紫外線やそれより短い波長で
エネルギーが「無限大」になるなんてことは起こらない
わけです。
この「計算では無限、現実では有限」という矛盾が
紫外線崩壊(ultraviolet catastrophe)と呼ばれます。
古典物理のまま計算すると、
熱い物体は短い波長の光を無限に出す、という
現実とはまったく違う答えになってしまった。
→「これは理論の側に根本的な間違いがあるのでは?」
という不信感が生まれます。
ここをきっかけに、プランクが
「エネルギーは連続ではなく飛び飛びの量子でしか存在できない」
という、量子説を出していきます(これが量子力学のスタート)。
2.光電効果「光を当てると電子が飛び出す」不思議
金属の板に光を当てると、
その金属から電子がピョンと飛び出してくる現象があります。
これを光電効果と言います。
イメージとしては
① 金属の中には電子がたくさん詰まっている
② そこに光を当てると、光のエネルギーを受け取った電子が
金属の外に飛び出す
というイメージ。
● 古典物理学の考え方だと、こうなるはず・・・
当時の常識は、
光は「電磁波」という波」であり、エネルギーは「波の強さ」に比例する
と考えられていました。
だから古典物理では、こう予想されます。
✔︎ 光が弱くても「長く当てれば」電子は飛び出すはず
✔︎ 明るさ(光の強さ)を強くすれば、より多くの電子が飛び出すはず
✔︎ 光の色(周波数)はあまり関係ないはず(エネルギー=強さで決まるから)
● でも実験すると、現実は全然ちがった!
実験結果はこうでした。
✔︎ いくら暗い光でも、「ある色(周波数)」以上だと、
当てた瞬間に電子が飛び出す
✔︎ 逆に、どれだけ明るく強い光でも、
色(周波数)が低いと、永遠に電子は飛び出さない
✔︎ 電子がどれだけ勢いよく飛び出すかは、
「光の強さ」ではなく「光の色(周波数)」で決まる
つまり、
「どれだけ強い光か」ではなく、「どの色の光か」が決定的に重要
という、古典物理学では説明できない結果になりました。
● ここから出てきた結論
アインシュタインはここから、
光は連続した波ではなく、
「光量子(フォトン)」という粒の集まりであり、
その1個1個がエネルギーを持っている
と考えました。
✔︎ 光のエネルギー = hν(νニュー:周波数)(周波数に比例)
✔︎ 明るさ(強さ)は、「粒子の数」の多さ
という量子的な考え方を導入することで、
光電効果がきれいに説明できるようになります。
3.原子スペクトル「原子は決まった色の光しか出さない」
水素などの原子にエネルギー(熱したり、放電したり)を与えると、
その原子は光を出します。
その光をプリズムなどで分解すると、
✔︎ 虹のような連続した色の帯ではなく
✔︎ 細い線がいくつも並んだ線スペクトル
として現れます。
たとえば水素原子なら、水素専用の「線の並び方」があり、
その並び方はいつも同じです。
● ここが「古典物理論ではお手上げ」のポイント
古典物理で素直に考えると、
✔︎ 電子は原子核のまわりを自由に回っている
✔︎ 回っている電荷(電子)は、エネルギーを連続的に放出する
→ 出てくる光のエネルギー(=色)も連続的になるはず
=虹のようなスペクトルになるはず
でも現実は、
決まった色(波長)のところだけ
ピンポイントで光が出ている
つまり、
「なぜ電子は連続的にどこでも動けず、
特定の状態(エネルギー)にしか存在できないのか?」
という謎が生まれたわけです。
この謎を最初にうまく説明したのが、
ボーアの量子化された原子モデル(ボーア原子模型)です。
この3つの現象
1. 黒体放射の紫外線崩壊
2. 光電効果
3. 原子スペクトル
は、それぞれ別々の話に聞こえるけれど、共通しているのは
「エネルギーは連続ではなく、飛び飛びの値(量子)をとっている!」
と考えないと説明できない
という点です。
つまり、
✔︎ 物質も光も、連続した、なめらかな世界ではなく
✔︎ 「量子」という小さな単位でジャンプする世界
として理解し直さないといけない。
ここから、世界が今関心を持っている
量子力学・量子意識・情報フィールドへと
時代が大きくカーブしていきます。


