シュレーディンガーの猫はコペンハーゲン解釈への皮肉(1935年)

今回は「量子力学の象徴」とも言えるシュレーディンガーの猫について解説します。
シュレーディンガーの猫とは?
これは、1935年に物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが提案した 思考実験(イメージの中で考える実験) です。
目的は、
「量子力学のルールをそのまま日常世界に適用すると、とんでもない奇妙なことになる」
ということを示すためでした。
つまり、
量子理論の「奇妙さ」をあえて極端に見せつけるための実験です。
実験のセット:猫・放射性原子・毒ガス・装置
箱の中に以下を入れます
1. 猫(生きている)
2. 放射性原子 1 個(いつ崩壊するかわからない)
3. 放射線検出器(原子が崩壊した瞬間に反応)
4. 毒ガス装置(検出器が反応したら毒ガスが出て猫が死ぬ)
5. 完全に閉じた箱(外から中が見えない)
この状態で箱を閉じる。
量子力学のルールを適用すると?
◉ 放射性原子は 崩壊する と 崩壊しない が同時に重ね合わさる
量子の特徴である 重ね合わせ状態です。
量子は観測するまで、
✔︎ 崩壊した
✔︎ 崩壊していない
の 両方が同時に存在していることになります。
◉ その結果、猫は?
① 原子が崩壊 → 毒ガス → 猫が死ぬ
② 原子が崩壊しない → 毒ガスなし → 猫は生きている
つまり量子理論を「そのまま」適用すると
猫は「生きている+死んでいる」が同時に存在する
という奇妙な状態になります。
観測すると何が起きる?(波動関数の収縮)
あなたが箱を開けた瞬間、
① 「生きている猫」
② 「死んでいる猫」
のどちらか 一方に確定します。
これは量子力学でいう 観測による波動関数の収縮です。
観測するまでは「可能性が重ね合わされ」
観測した瞬間に「1つの現実になる」
この考え方が、後の「量子意識」「観測者効果」などの議論にもつながっていきます。
シュレーディンガーの本当の意図
多くの人は「猫が生死の重ね合わせになるんだ」とだけ理解しますが、実はそれは 半分誤解。
シュレーディンガーの本当の意図は、
量子力学の奇妙さを風刺したかった
「こんな変な結論になるわけがない」と問題提起したかった
ということです。
彼自身は、
「量子ルールが巨視的世界(私たちの世界)に拡大解釈されるのは変だよね?」
と主張するための実験でした。
その後、量子理論は「本当に猫が重ね合わせ」になると言い始めた
しかし現代物理学では、逆にこう考えられています
• 厳密に言うと猫も重ね合わせになる
• ただし デコヒーレンス(環境との相互作用)によって、
その重ね合わせはほぼ瞬時に壊れて1つの状態になる
つまり、
猫は重ね合わせ「にはなる」が、現実ではほぼ瞬時に崩れてしまうので、私たちは見えないだけ
というのが最新の解釈です。
パラレルワールド(多世界解釈)では?
ヒュー・エヴェレットの 多世界解釈ではこうなります:
• 原子が崩壊する世界
• 崩壊しない世界
が 分岐してどちらも存在する
その世界では、
• 一方で猫は死に
• 一方で猫は生きている
あなた(観測者)もまた分岐するため、それぞれの世界の自分が異なる結果を見る。
量子ジャンプやパラレルワールドの議論はここを基盤にしています。
シュレーディンガーの猫が伝えたかったこと
✔ 量子は「重ね合わせ状態」になる
✔ 観測するまで結果は決まらない
✔ 巨視的世界にそのルールをそのまま適用すると矛盾が生じる
✔ この矛盾が「量子と意識」の本質的な問題
✔パラレルワールドや量子ジャンプ議論の土台にもなる


