量子力学の父ーマックス・プランク、禁断の仮説を出す(1900年)E-hν

なぜプランクは「禁断の発想」を持ち込む必要があったのか?
当時の物理学は、
✔︎ すべてのエネルギーは連続的に変化する
✔︎ このなめらかさこそが自然の基本ルール
と考えられていました。
つまり、
「エネルギーは水のように連続していて、
どんな値でもとれるはずだ」
これが物理学の常識だったのです。
しかし・・・黒体放射(熱い物体が出す光)をどう計算しても破綻するという矛盾
■ 前のコラムで説明したとおり、
黒体放射の理論を古典物理で説明すると、
✔︎ 紫外線より短い波長では、エネルギーが無限大に発散してしまう
(=紫外線崩壊)
という、明らかにおかしい答えが出ます。
どんな優秀な物理学者が計算しても、同じく破綻する。
つまり、
「自然のほうは正常なのに、
人間側の理論のほうが完全に間違っている」
という状況だったのです。
黒体放射の何が「歴史的にすごい」のか?
実はこの現象、
古典物理では絶対に説明できなかった という黒歴史があります。
▶ 古典物理の予言
「高い周波数(青色)の光は無限にエネルギーが出るはず」
→ これは 紫外線破綻と呼ばれた大失敗。
実際の黒体放射はちゃんとピークがあり、無限にはならない。
▶ そこで登場したのが マックス・プランク
プランクの決断「もう、この世界観を壊すしかない」
プランクはこの問題に10年以上取り組んでいました。
しかし、普通の考え方の延長では絶対に答えが出ない。
そこで彼は、仕方なく、
エネルギーは連続ではなく、
飛び飛びの値しか取れない
という、とんでもない仮説を導入します。
これが「量子仮説」です。
エネルギーが「飛び飛び」とはどういう意味か?
プランクの考えたことを、極めて簡単に言うと
● 階段のようにしかエネルギーが上がらない
普通はスロープのようにエネルギーが滑らかに変わると考えられていた。
でもプランクの世界は、こう・・・
階段状でしか増えない。
電球の光のエネルギーも、鉄の熱のエネルギーもすべて「階段状」。
プランクが導入した式:E = hν(エイチ・ニュー)
エネルギーは
E = hν(エイチ・ニュー)
という量子エネルギーの最小単位でしか存在できない。
• E:エネルギー
• ν(ニュー):頻度(周波数)
• h:プランク定数(量子の最小の粒度を定める数字)
※ つまり、エネルギーが「粒」になっている。
この発想が禁断だった理由とは?
当時の物理学者は、
✔︎ 世界は連続的でなめらか
✔︎ エネルギーはどんな値でもとれる
✔︎ 自然は数学的で美しい
と信じていました。
そこにプランクの仮説はこう言った。
「いや、エネルギーは飛び飛びです。
この宇宙はなめらかじゃなくて粒状の世界です。」
これは、物理学者からしたら、
✔︎ 数学的に美しくない
✔︎ 宇宙観を根底から壊す
✔︎ 物理の伝統に逆らっている
という完全な反逆でした。
しかもプランク自身も信じていなかった!
プランクの本当の気持ちはこうです
「私はただ黒体放射の式を合わせるためだけに
こういう式を作った。
こんな奇妙な物理的意味があるとは思っていない。」
つまり、
✔︎ 彼は量子論を信じていなかった
✔︎ 数学的なごまかしだと思っていた
✔︎ 本当にそんな世界だとは考えていなかった
それでも、この「禁断の仮説」だけが問題を正しく説明したのです。
結果的にこれが量子力学の幕開けになる
プランクの仮説は、後に
✔︎ アインシュタインの光量子仮説(光電効果)
✔︎ ボーアの原子模型
✔︎ シュレーディンガーの波動方程式
✔︎ ハイゼンベルクの行列力学
などの流れへと進み、
量子力学という全く新しい物理学へと繋がっていきます。
プランクの一歩がなければ、
現代の量子コンピュータも、レーザーも、半導体も存在しなかったと言ってもいいほどです。
プランクは、古典物理の世界観を壊してでも、
自然現象を正しく説明しようとした。
その勇気が、量子の扉を開いた。
だからこそ、物理学史の中では
「1900年が人類の量子時代の始まり」
と呼ばれているのです。


